NEW第1回「リハビリとは」~脳卒中協会会報 掲載記事より一部抜粋~
リハビリテーションの原義には、権利や名誉の回復という内容が含まれ、欧米では犯罪者の更生などにもリハビリテーションという言葉が用いられる。
我が国では医療におけるいわゆる「リハビリ」という用語が流通しているが、その意味するところは、職業、教育、福祉等の分野にも広くまたがる
『リハビリテーション』本来の内容よりも、運動療法に代表される訓練室訓練に限定されている。これが、介護保険等の公的制度にも浸透し「通所リハビリ」や「訪問リハビリ」等の言葉が飛び交っている。
しかし、本来どの分野にも共通する『リハビリテーション』の理念は、生活機能の再獲得を基盤とした社会参加の促進である。
リハビリテーション医療の対象は協議には障害者であるが、高齢社会では障害と慢性疾患が同居し、加齢自体も一つの障害となる。脳卒中後遺症はそうした意味での障害の代表であり、肢体不自由として認定された身体障害者の多くは脳卒中後遺症疾患者である。
脳卒中後遺症を抱える障害者は、一方で再発のリスクを抱える慢性疾患患者でもある。また、片麻痺などが有れば、それによる歩行の異常が関節障害をもたらし、
これがさらに日常生活を妨げる。
したがって『リハビリテーション医療』は、障害の軽減のみならず、疾病の再発防止と新たな障害の発生予防としてのアプローチを含み、広く予防医学としての特性を持つ。
脳卒中後遺症を有する患者・障害者では急性期だけでなくいわゆる維持期(慢性期)にも様々な生活上の問題が存在し、『リハビリテーション』としての積極的な取り組みが必要となる場合が多い。
障害を抱えながら生活する人々の苦しみを軽減するには、たゆまぬ技術開発が必要不可欠となる。また、技術は日々進歩している。
後遺症を抱える患者・障害者が「あきらめている」現状があるのも事実であるが、この技術の進歩が有る限り「あきらめる」にはまだ早いかもしれない。
仙台クローバークリニック理事長 関 和則